えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2010-01-01から1年間の記事一覧

グエムル 漢江の怪物

괴물, 2007 ポン・ジュノ監督。 遂に観た。やっと観た。 単純なお話なのに予想を裏切る展開のさせ方が実にうまく、 シリアスなのに笑えてしまうところも素晴らしくて、 最後まで一気に見せます。 グエムルが大きすぎない、というところが絶妙なポイントだと…

シュリ

쉬리, 1999 カン・ジェギュ監督。 とりあえず、にわか韓流は王道から攻めようかと。 ご存知、韓国映画界を産業として大発展させるきっかけになったと言うべき ブロックバスター作品にして見事なまでのアクション映画。 今改めて観ると、いささかやり過ぎの感…

長江哀歌

三峡好人, Still Life, 2006 賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督。 JSAのあとなので、ことさら地味に見えてしまいましたが。 三峡ダムの建設と、それに伴う建物解体の進む奉節の街に、 16年前に別れた妻子を探す男と、2年音沙汰のない夫を探す女性とが やって来…

JSA

공동경비구역 JSA, 2000 読めもせぬハングル眺めて夜長かな、と。 パク・チャヌク監督。 朝鮮戦争を体験していない韓国の若者が2年2ヶ月兵役で国境警備にあたれば、 こういうこともあるかもしれない、という実感が、おそらくこの映画の リアリティーを保障し…

ジブラーンでよいお年を

あれこれご返事もせぬまま年を越してしまいまして心苦しいですが。 25日、清荒神清澄寺を詣でる。帰りに一句。 甘酒を抱えておりる荒神の坂 28日、ネルヴァル忘年会。 あとは可能な限り映画を観る。

イン・ディス・ワールド

In this world, 2002 マイケル・ウィンターボトム監督。 あいかわらずそんなんかい、と一人突っ込み。 しかしこれがまた凄い。 パキスタンに居住するアフガン難民の青年二人が、 パキスタンからイラン、トルコ、船でイタリアに渡ってフランスを通ってイギリ…

ようやく一息

たいそうご無沙汰してもう忘れられてしもうたかしら。 はや年末。 ここ数週間の付け焼刃、というかもはや必要ないのに読んだ本の羅列。 宮田律、『物語 イランの歴史 誇り高きペルシアの系譜』、中公新書、2002年 春日孝之、『イランはこれからどうなるのか …

子供の情景

Buddha collapsed out of shame, 2007 ハナ・マフマルバフ監督。 さすがモフセンの次女というべきなのか何なのか、 19歳でこんな映画撮れてしまうのは本当に大したものだと思われます。 アフガニスタンのバーミヤンに暮らす子供たちの情景を通して、 アフガ…

焼く暇もなし

相変わらず滞っておりまして恐縮です。 もはや付け刃焼いている暇もないほどに追われる日々。なんたる自縄自縛。 渡辺光一、『アフガニスタン 戦乱の現代史』、岩波新書、2003年 片倉もとこ、『イスラームの日常世界』、岩波新書、1991年(2009年35刷) 藤原…

不十分な準備

マラルメ自身が「分からない」ことについて語っている言葉に、もう一度謙虚に耳を傾けてみよう。 とおもむろに思い立つ。 そこでお決まりのジュール・ユレの『文学の進歩についてのアンケート』。 以下拙訳。 ――私は信じるのですが、と彼は私に答えた。内容…

アフガン零年

Osama, 2003 セディク・バルマク監督。 NHKと(なぜか)アイルランドが出資して、「復興アフガニスタン第一作」と銘打った作品。 意地の悪い取り方なのを承知でいうと、 北部同盟による反タリバンのプロパガンダ映画のようなところがあって、 それが悪いこと…

自転車操業中

あちこち滞っておりまして恐縮であります。 土曜日、お芝居鑑賞。新しいものを作ることのむずかしさを あらためてしみじみと思う紅葉かな。 ちかごろの付け焼刃。 柴宜弘、『ユーゴスラヴィア現代史』、岩波新書、1996年(2009年14刷) 佐原徹哉、『ボスニア…

母たちの村

Moolaadé, 2004 ウスマン・センベーヌ監督・脚本・制作。 ブルキナファソとか何一つ知らないので、リアリティのありようがまるで掴めないし、 分からないことだらけであるのだけれども、 不思議にゆるやかな時間の流れる良い映画でありました。 (もっとも内…

分からないのは問題か

今日一番良かったことは、でっかい虹が見られたこと。 できることならあの足元まで歩いていきたかった。 二番目によかったことは、「のばら犬」どののコーラスがまた聞けたこと。 今日は控えめのようでした。 じっと見てたら、「あっちいけ」と怒られました…

ホテル・ルワンダ

Hotel Rwanda, 2004 テリー・ジョージ脚本・監督。 実話を元にしていながらも、 次から次にと降りかかる絶体絶命危機一髪の状況をくぐりぬけていく様が、 実にもうサスペンスに富んでいて、並のアクション映画よかよっぽど「面白」く、 はじめはその場しのぎ…

カルメン

さて、かくして、今となっては西欧白人の一方的おしつけイメージの代表となってしまったかの感のある メリメ、『カルメン』、杉捷夫訳、岩波文庫、1929年第1刷(2009年第89刷) をはらはら読んでいたら(それにしても80年ものの翻訳とは凄い)、本当の話、「…

野ばらに吠える

今日一番驚いたこと:今時の若者には「ジプシー/ロマ」とか聞いたことがない人が多い。 今日一番よかったこと:とある町役場では午後4時半にスピーカーから「野ばら」が流れる のだけど、それに合わせて「うおーん、うおーん」と吠えている犬がいたこと。 …

ビーティフル ピープル

Beautiful People, 1999 ジャスミン・ディズダー脚本・監督。 ロンドンとボスニアを舞台に、5つの物語が交錯しながら語られる。 地味ながら、というか地味ゆえにこれは良い映画でした。 厳しい現実を見据えたうえで、それでも希望を語るこの監督の姿勢に 大…

長いこと風邪

そもそもは14日ごろより、喉がいたくなる。 10月16日、日帰り名古屋。 10月20日、Ego-wrappin' 騒ぎすぎて、一端治った風邪がぶり返す。げほげほ。 23日、マラルメ。『賽の一振り』第一回。むずかしい。飲まずに直帰。 28、29日。貴重な休みを寝て過ごす。 …

華氏911

Fahrenheit 9/11, 2004 遂に観た。マイケル・ムーア監督。 この映画の採用する明快な二分法によれば、 アメリカ社会は支配階級と被支配階級に画然と分かれていて、 (いつの時代の話や、と思いますが、今の話ですね。でてこいレーニンて感じっす) 前者には…

初恋のきた道

The Road Home, 2000 原題は「我的父親母親」だそうです。これは分かりやすい。 張芸謀(チャン・イーモウ)監督。 たまにはこういう映画も観たいじゃないか。 章子怡(チャン・ツィイー)が可愛いからそれでもうぜんぶOKです、 ていうような映画でした。…

日々はどんどん過ぎる

昨日は貴重な祝日。 漢字テスト採点して、『スパニッシュ・アパートメント』見直して終わる。 東欧拡大後版の同種の映画を、誰か撮らないものかしら。相変わらず焼刃付けまくり。あるいは、付け刃焼きまくり。 庄司克宏、『欧州連合 統治の論理とゆくえ』、…

亀も空を飛ぶ

Kûsiyan jî dikarin bifirin, 2004 クルド語が読めるはずもないので、あってるかどうか分かりませんが。 バフマン・ゴバティ監督。 さしもの私も、何を好き好んで重たい映画ばかり観ているのかと 自問してしまうが(カタルシスというものがまるでない)、 し…

あなたになら言える秘密のこと

The Secret Life of Words, 2005 イサベル・コイシェ監督。サラ・ポーリー、ティム・ロビンス主演。 イギリスの工場で働くハンナは、勤勉すぎるからと強制的に休暇を取らされ、 旅先(たぶん北アイルランド)で、偶然に、海上の油田掘削所に看護婦として赴く…

夜間飛行

サン=テグジュペリ、『夜間飛行』、二木麻里訳、光文社古典新訳文庫、2010年 ひとたびサンテックスの手にかかると、労働は、人間が人間であることの存在証明と化し、命がけの責務こそが、人間を崇高な存在たらしめる。ストイシズムに満ちる人物達の姿は、神…

秋雨に注意

干して出かけた洗濯ものがびちゃびちゃになりませんように。 うるうる。

ノー・マンズ・ランド

No Man's Land, 2001 ダニス・タノヴィッチ監督。 セルビアとボスニアとの戦場の中間地帯に取り残された、敵対する兵士チキとニノ。 兵士ツェラは背の下に地雷を仕掛けられ、身動きするこができない。 塹壕を出れば攻撃される三人の、揺れ動く関係。 不干渉…

付け焼刃

切れない刀にはがねの焼き刃をつけ足したもの。見た目は切れそうに見えるが、実際はもろくて切れない。(デジタル大辞泉) なるほど。 というわけで相変わらずの一夜漬け読書。 マンフレッド・B・スティーガー、『新版 グローバリゼーション』、櫻井公人他…

前夜

水曜、会議。夜ラーメン。 本日、泥睡。 いよいよ明日から後期開始。 Clémentine, Animentine, 2010 で準備。 クレモンティーヌは wikipedia に仏語のページが存在しないとは。 ポニョが良いです。ドラえもんとサザエさんと一休さんに驚きました。

やさしくキスをして

Ae Fond Kiss, 2004 ケン・ローチ監督。 舞台はスコットランドのグラスゴー。 アイルランド出身の女性とパキスタン移民二世の男性の恋愛物語。 つまるところ、これは王道のラブストーリーで、 個人主義の価値観と、家族・共同体重視の社会との軋轢が、その恋…