えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2014-01-01から1年間の記事一覧

クリスマスの夜

モーパッサンの顰に倣うように、時事的な題材を選んで翻訳をしてみました。 モーパッサン 『クリスマスの夜』 お読みいただけましたら幸いです。 ルイ・フォレスチエの指摘するごとく、ここで語られるのは聖夜の「降誕」のお話であり、それは「同時にグロテ…

あるパリのアヴァンチュール

モーパッサン 『あるパリのアヴァンチュール』 モーパッサンの短編を翻訳しました。 新庄嘉章訳では「パリの経験」と訳されている作品。ここで aventure はもちろん「情事」も含意しているが、もう少し広い意味で「向こう見ずな冒険」のニュアンスを汲み取り…

うまくいかないこともある

最近読んだ本から、備忘のために脈略のない引用を残す。 トビを買いたいと思ったのは、雪がたくさんふった年のことだ。 (ユベール・マンガレリ、『おわりの雪』、田久保麻里訳、白水Uブックス、2013年、5頁) 準備はなにもいらない。学校の成績なんて関係な…

「親殺し」翻訳

これを機会にモーパッサンの短編の翻訳をしてみようと思い立ち、 モーパッサン 『親殺し』 モーパッサンの「親殺し」を翻訳してみました。 (全国の円朝ファンに)お読みいただけましたら嬉しい限りです。 短編の翻訳はなんと7年ぶりのことであります。 この…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第6回

『ふらんす』9月号に、 「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第6回(最終回)掲載されました(32-35頁)。 「脂肪の塊」不在の宴会の場面から、翌日の馬車の中の最後の場面まで、 コラムは「男性中心社会に生きる女たち」です。 お読みいただけましたら幸甚です。 …

ある風景画家の生活

夏休み翻訳できて嬉しいな。 モーパッサン 『ある風景画家の生活』 モーパッサンの「視線」に、どれほど同時代の画家と共通するものがあったか ということが、残念ながら日本ではあまり知られていないのではないかと思い、 翻訳しました。 お読みいただけま…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第5回

遅くなってしまいましたが、 『ふらんす』8月号に「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第5回掲載されております(p. 32-35.)。 いよいよ大詰め、旅客たちによる娼婦「脂肪の塊」攻略の顛末です。 コラムは「スクリーンの中の『脂肪の塊』」。挙げた作品は5本。 皆…

平野威馬雄の「祈り」

祈り……モオパッサンへ 頭髪よ 重き憂の鼓動に泳ぎ 靈の舗道に笑ふ頭髪よ 汝は温かき陽の唄ふ時に、 樂園の色を、透明に映し 年若き狂人を喜ばしめ、 冷たき午後の陽差しうなだれ歩む時に、 枯れ朽ち乾くが如き音にて、 さらさらと動く。 而して、青き頭髪よ…

スノーピアサー

『スノーピアサー』と『風立ちぬ』をビデオで鑑賞。ポン・ジュノすごい。 引き続き細々読んだ岡田先生のご本。 岡田温司、『グランド・ツアー 18世紀イタリアへの旅』、岩波新書、2010年 ――、『デスマスク』、岩波新書、2011年 ――、『黙示録 イメージの源泉…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第4回

また今月も宣伝になります。 『ふらんす』7月号に、 「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第4回、掲載されています(32-35頁)。 宿屋に足止めされた理由が明らかになる、物語中盤の山場になります。 コラムは「『脂肪の塊』ってなによ!?」 ヒロインの名の訳語に…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第3回

いささか遅くなりましたが、 『ふらんす』6月号に「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第3回掲載されております。32-35頁。 馬車の中で、「脂肪の塊」が皆に弁当を分け与えることで、 最初自分を馬鹿にしていた貴族・ブルジョアの面々に受け入れられるまでです。 コ…

「田舎のヴィーナス」翻訳

連休中におとなしく、積年の宿題をこなす。 モーパッサン「田舎のヴィーナス」 モーパッサンが1880年に刊行した『詩集』の19の詩篇中の最後の1篇。 「最後の逃走」の翻訳が2008年初めであったから、まる6年かかったことになる。 といっても、もちろんのごと…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第2回

宣伝ばかりで恐縮です。 『ふらんす』5月号に、「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第2回が掲載されています(32-35頁) 今回は馬車に乗り合わせた乗客たちのプロフィールになっています。 モーパッサンの描写の妙をじっくり味わっていただけましたら幸いです。 コ…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』連載開始!

竜之介さん、長い間のご無沙汰どうも失礼いたしました。 昨年度に職場環境ががらりと変わっていらい、 まったくこちらへ戻って来ることのできない日々が続いておりまして まったくふがいないばかりです。 もうブログの書き方忘れてしまいました…。 でもとに…