えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

食後叢書12巻

牧義之、「英訳モーパッサン短篇集「食後叢書」に関する考察(承前)―翻訳から見る第十二巻の存在―」、『北の文庫』第47号、2008年、p. 8-23. 前回の論文は「食後叢書」幻の第12巻は存在した、という発見についてだった わけだけれども、ではその十二巻は日…

待ってました!

ご本人よりご恵投いただいたということもあるけれど、仮令そうでなくとも ぜひとも紹介しないわけにはいかないのである。

田山花袋の翻訳・翻案

今後のために単純にメモ書きしておくだけ。 「食後叢書」の英題(およびダンスタン版題)と仏語原題を付し、 括弧内の数字は最初が「食後叢書」、次がダンスタン。 最初の二つは「オッド・ナンバー」からの訳なので面倒なのは省略。 「二兵卒」、『少年文集…

メモメモ

ちまたにはもう桜もちらほら目に入って驚く。

独歩「糸くず」

国木田独歩の訳も細かく見れば、訳してない箇所もあり、誤訳もある。 フランス語の読みは間違っているかもしれない、と『武蔵野』初版にはちゃんと 但し書きがしてあるのだけれど、Hauchecorne オッシュコルヌがアウシュコルンになっている ようなのはご愛敬…

何だ古狸!

こっそりと、「えとるた図書館」に三作目、 國木田獨歩「絲くづ」を掲載してみる。 細々打ち込んでいたのだけれど、いやまあ意外に面倒な作業だこと。 好き好んで旧漢字にこだわるからいかんのである(どうせ全部出ないし)が、 旧漢字、というか「オリジナ…

パリの経験

Une aventure parisienne, 1881 (というわけで今更変えるのも何なのでイタリック。) 12月22日「ジル・ブラース」、モーフリニューズ。 『マドモアゼル・フィフィ』(初版、再版)に所収。 「ラ・ヴィ・ポピュレール」、1884年8月14日再録。 aventure は実…

おおむね順調

著作権についてひと騒動(というほどのこともないけど)。 ところで、全く別の話であるが、 私はweb上では到るところでやっているのだけれども、 本当はモーパッサンの中短編の題名のフランス語表記は、今日はイタリックではなく ギユメが普通である。独立し…

モランの豚やろう

Ce cochon de Morin, 1882 それにしても、そういつまでも日本に目を向けているわけにもいかないので、 再びモーパッサンを読むことにしてゆこう、と思う。 その最初がこれというのも何だけれど、長田秋濤がこれを訳して「豚林」(ぶたりん)と題した という…

長田秋濤がすごい

本日はささやかな送別会。 これもたびたびお世話になっている 秋山勇造、『埋もれた翻訳―近代文学の開拓者たち』、新読書社、1998年 は長田秋濤(1871-1915)にも一章さかれているのだけれど、改めて読むとこれがまた面白い。 早くからフランス語を学んで留…

モーパッサンと上田敏

上田敏の所持していた「オッド・ナンバー」を柳田国男から国木田独歩、田山花袋 と借り回し、独歩と花袋がそれぞれ翻訳したのが、ほぼ日本初訳ということで 有名なのである(ということはもう何度も書いたかな)。 備忘録に記しておきたいのは、それより前に…

送信!

遂にようやく原稿 "Maupassant au Japon" 「日本におけるモーパッサン」20枚 をメールで発送する。 まだ全部終わったわけじゃないけど、いや嬉しい。よくやった。 ところで何故か忘れたけどアカウントを所持していたので、 こっそり超私的図書館を開設してみ…

著作権について独り言

ベルヌ条約の締結は1886年。日本が加盟したのは1899(明治32)年だという。 モーパッサンが亡くなったのは1893年7月だ。 以前から薄々気になっていたのだけれど、日本で翻訳を出した出版社が、 モーパッサンの遺族に著作権料を払った、というようなことはか…

志賀直哉とモーパッサン

「モーパッサン全集」の 戦前の代表が天佑社であれば、戦後はもちろん春陽堂だけれど、 1955-56年に出た版は完結したのかしなかったのかよく分からず(たぶんしなかった) それでも、21巻の予告中、16巻までは確かに出た。 雪辱を期してかなんだか、その十年…

としょかんはお好き

本は買うものである、というような信念を立派なものだと 思っていたりすると、これはもう部屋が本で埋まること必至なのである。 しかし理想論だけで言えば、やはり本は買うものである、と私は思う性質ではある。 がしかし図書館というのは有難い存在であるの…

2001年宇宙の旅

2001: a space odyssey, 1968 色々あって「2001年」を観たので備忘録。 小説を読んでないので何回観ても最後の意味が分からなかったんだけど、 「スターチャイルド」になっちゃってたんですか。そうですか。 それはともかく、今回注目ポイントはやはりHAL900…

おもむろに2001年

受容史において「翻訳」が重要なファクターであることは言うまでもない。 田山花袋、前田晁から矢口達、平野威馬雄あたりまでをおよそ第一世代とするなら、 天佑社版全集はその訳業の集成の観があり、そこにおいて、いわゆる「忌憚なき性慾描写」が モーパッ…

美貌の友

モオパッサン著、廣津和郎譯、『美貌の友(原名ベラミイ)』、天佑社、大正11(1922)年10月20日発行、11月20日20版 というのを購う。写真は外箱で、お値段はちなみに2100円。 ポイントは右下隅にある(改版)の文字で、 これは実は天佑社版『モウパッサン全集…

なんか変だ

本日は奈良までお仕事。雨蕭々。 それはそうと

荷風、白鳥こぼれ話

昭和十三年秋に、アメリカのモーパッサン研究家アルティーヌ・アルティニアンという人が、モーパッサンについてのアンケートを世界中の知名な文学者に向って発したことがある。わが国では荷風と正宗さんのところにそのアンケートが来たが、荷風は答えず、正…

編集会議

編集会議(喫茶店でだけど)で四時間激論を戦わす(誇張あり)。 それはそうと永井荷風と正宗白鳥が出て来たのでこぼれ話を拾っておこう。

白鳥「モウパツサン」(2)

二回目以降の内容については、時代の証言として貴重な箇所は それほど見られない。40年ぶりに読み返しての新たな感慨は、それはそれと して聞くべきものもあるのではあるけれど。 そういうわけでめぼしいところだけを押さえるにとどめる。 たとえば『女の一…

なおしてなおして

なおしてなおして原稿をなおす日。 それはそうと、そろそろ日本文学との関わりは一時休止にしたい ところでもあるので、これだけはさらえておこうかと。

論文のけじめに

改めて考えるにつけ、要するに、 作家永井荷風の「構成要素」というものを考えるなら、 その内の何パーセントかは確実にモーパッサンから成っている。 ということなのだ。 度合は『あめりか物語』の時は相当高く(推定30パーセント程度、適当だけど) 『ふら…

論文二本出る

8日はおめでたい会。9日は仏作文の推敲。 さて、論文2本が刊行とあいなる。 一本はモーパッサンの演劇論その2 一本は「永井荷風に見るギ・ド・モーパッサン」で、 『テクストの生理学』、柏木隆雄教授退職記念論文集刊行会編、朝日出版社、2008年 に収録。 …

『夜の樹』

トルーマン・カポーティ『夜の樹』、川本三郎 訳、新潮文庫、2007年(18刷) 脈絡はあるのだけれど、間が空いてしまった。ようやく読了。 新潮文庫の『ティファニーで朝食を』、龍口直太朗 訳には、表題作の他に「わが家は花ざかり」「ダイヤのギター」「ク…

一段落

「日本におけるモーパッサン」15枚の原稿がとりあえず出来上がる。 自然主義と荷風について詳しく論じ、作家以外の一般の受容については 翻訳の量と内容につきながら、百年分を概観する。オーソドックスといえば まあオーソドックスなもの。しかしまあ、当た…

「青春夢」とはなにか

明治時代だけでモーパッサンの翻訳件数は200を超えるとされているのだけれど、 では日本におけるモーパッサンの初訳は何か。 という件のおさらい。 三遊亭円朝の「名人長二」は「親殺し」の一種の翻案で、 明治28年4月28日から6月15日まで「中央新聞」に連載…

図書館へ

はじめて京都府立図書館へ。 収穫はいろいろあるものの、今日は別のお話。

HPについての集計

カウンターは本日で5986。あとちょっとで六千でした。 劇 3本 3幕1編、1幕2編 詩 『詩集』19篇中18篇、他3篇 時評文 「小説論」に序文をあわせて15編 小説 なぜか幻想小説ばかりの4編、たぶん初訳の『エラクリウス』を含む。 書簡 13通 その他 追悼文 4編 同…