えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

モーム

『人間の絆』

モーム『人間の絆』(上中下)、行方昭夫訳、岩波文庫、2001年 やっとのことで読み終える。3冊は私にとってはずいぶん長かった。原作は1915年刊。 サマセット・モームには独特の冷静さというか冷淡さがあって、それ故に諷刺は抜群である一方で、どこか物足り…

モーム「赤毛」/イェール「子どものように」

「雨」の次は「赤毛」である。これまた嫌な話ではあるのだが、しかし完成度という点では、私は「雨」よりもこちらを取りたいと思う。 舞台はサモアの小さな島。まず、語りの順序とは無関係に話の要点を簡略に記せば、おおよそ次のようになるだろう。 アメリ…

モーム「雨」/ミレーヌ・ファルメール「ブルー・ブラック」

考えてみるまでもなく、モーパッサン好きがモームを好きにならないはずもない、というものなのだが、これまで読む機会がなかったサマセット・モームをできるだけ読む、というのが私の今年の目標である。 サマセット・モームは1874年に生まれ(ヴァレリーより…