えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『アヴリルと奇妙な世界』/「そして明日は?」

ジャック・タルディ ビジュアル総監修、クリスチャン・デスマール、フランク・エキンジ監督『アヴリルと奇妙な世界』、2015年 冒頭は1870年、ナポレオン三世とバゼーヌが科学者ギュスターヴ・フランクランのもとを極秘に訪れる。ギュスターヴは不老不死をも…

『嵐が丘』/-M- 「モジョ」

読んだという記録に。 エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、鴻巣友季子訳、新潮文庫、2016年 いやー、こんな話だったんだ『嵐が丘』ってー。これは驚きました。原作は1847年に発表。 煎じ詰めるとこの物語は、ヒースクリフというどこの馬の骨とも分からぬ捨て子を…

はじめてのガイブン 大人になるための20冊(+4)(後半)

後半 ニコライ・ゴーゴリ『外套・鼻』、平井肇訳、岩波文庫 ロシア文学。「ある朝目が覚めたら、鼻が自分より偉くなっていた」男の話です。訳が分からない? じゃあ、読むしかありませんね……。え、読んだけど分からなかった? なるほど。でも、それってそん…

はじめてのガイブン 大人になるための20冊(+4)(前半)

・このリストは、10代後半から20代初めで、外国文学をまだ読んだことがない、でもこれから読んでみようと思っている人(男女を問いません)を想定して作りました。 ・数ある古典の中から、「はじめて読む」のにふさわしいと思う作品を選んでいます。どれも有…

『わたしたちの心』

モーパッサン『わたしたちの心』、笠間直穂子訳、岩波文庫、2019年 岩波文庫からモーパッサンが新たに出るなんて、これを事件と呼ばずに何を事件と呼ぼうか。 そもそも驚きなのは、この作品がかつて岩波文庫に入っていなかったという事実だ。本作は、1890年…

『小説の技巧』/ヴァネッサ・パラディの感謝の歌

デイヴィッド・ロッジ『小説の技巧』、柴田元幸・斎藤兆史訳、白水社、1997年(2016年24刷) とても売れているこの本も、つい最近に知って読んだ次第。 本書は新聞日曜版の連載をまとめ直したもの。各回、小説の技法に関するテーマを一つ取り上げ、作品から…

『愛人 ラマン』/ジャン=ジャック・ゴールドマンの応援歌

『愛人 ラマン』、マルグリット・デュラス原作、高浜寛漫画、リイド社、2020年 右開きでフルカラー、日仏同時発売だから、これはBDと呼んでいいのだろうと思う。 私が個人的に驚いたのは、「あとがき」に書かれ(裏帯にも載せられ)ている次のような言葉だっ…