えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

偽作の出所(5)ジャン・リシュパン(2)

括弧の中は例によって、最初が「食後叢書」、次がダンスタン版の巻数。 Jean Richepin, Cauchemars, Charpentier, 1892 1. Pft ! Pft ! 2. Une aventure (An Adventure, 7, 3) 3. Immortalité 4. L'Homme aux yeux pâles (The Man with the Pink Eyes, 7 ; T…

悪夢

そういえば学生時代の私の悪夢は、なんかしらんが成績不良のために 入学試験をもう一度受けねばならない、という世にも恐ろしいものであった。 留学していた頃は、入出国のどっちかでパスポートを忘れる、というもので これまた実に恐ろしく、目覚めた時は夢…

英訳について幾つかの発見

また初心に帰って、Webcatを見ていて発見した3点。 まず「食後叢書」こと The After-Dinner Series に、『ベラミ』も翻訳されて いたということ。所蔵は1館のみ。出版年不明。翻訳者は不記載。 たぶん表題は A Ladies' man。 それから同じ「食後叢書」。 Jea…

改めて66編の偽作一覧

唐突に掲載。 苦節1年数カ月。スティーグミュラーよありがとう。大西忠雄よありがとう。 あなた方のお仕事には助けられました。 しかし問題はやはり「食後叢書」である以上、改めてリストを作りなおしてみました。 Liste des 66 œuvres faussement attribuée…

居伊・徳・莫泊桑

ふと行き着いたのでメモ。 http://baike.baidu.com/view/2811.htm 最初は「摩波商」か? と思ったんだけど、 よく分かりませんけども、ギ・ド・モーパッサンの中国語表記は 「居伊・徳・莫泊桑」であるようで。なんか楽しい。 (「徳」の正しい漢字は文字化…

whilstとwhile

おもむろにデザインを元に戻しました。 こんなに広かったのね。 ビゲロー・スミス社1909年の版は、どっからどう見ても「食後叢書」そのまま なのであるが、「食後叢書」で7巻の "The Man with the pink eyes" は、 ダンスタンと同じように"The Man with the …

なにがなんだか

いきがかり上、偽作関連の資料を久し振りに整理するも、 やればやるほど泥沼であることだけが分かる。 たとえば、「食後叢書」5巻、ダンスタン3巻の"Mad" なる短編は、タイトルにこんな注がついてるのに気づく。 This manuscript was found among the papers…

愚者が出てくる、城塞が見える

ジャン=パトリック・マンシェット、『愚者(あほ)が出てくる、城塞(おしろ)が見える』、中条省平 訳、光文社古典新訳文庫、2009年 一言で申し上げて、こいつはいかれてるぜ。 文章の要訣は何ぞ。言葉を短くせよ、言葉を簡略にせよ、言葉を平易にせよ、こ…

オリンピック終了

個人的オリンピックは無事終了。長かった5ヵ月。 精一杯の「まとめ」はこんな感じになりました。 100年を超える歴史を経て、近代オリンピックは世界中の人々を魅了する巨大な祭典へと成長した。近代スポーツという「文化」を世界に広めることに大きく貢献す…

びっくりたまげる

rien さんにお教えいただいて、びっくりのけぞった話。 (教えていただいてばっかりの昨今。ありがたいことです。) なんと、 Jean Richepin, Cauchemars, Charpentier, 1892 が、いつの間にやら Gallica に掲載されているではありませんか。 今更リシュパン…

俗謡か否か

月いちマラルメ日。"Chansons bas" 二篇。 「靴直し職人」と「香草売りの女」。 1889年、「フィガロ」およびプロン出版の Les Types de Paris 所収。 この『パリの典型的な人々』は画家ラファエリの絵に添える形で、 ゾラやらゴンクールやらドーデーやらミル…

ハリスの証言

ベナムー先生のメルマガ2007年1月と 2月の引用の間には 約1ページ分の省略があって、これは先生の「検閲」 によるものかどうか考える。 ま、全部は長いので(といって私も部分検閲)、 当該個所を引用してみましょう。 (写真は、かえるがどうしてもと言うの…

採点終了

はやくも本が届く。

準備に追われる

個人的オリンピックも大詰め。 女性の進出とプロ解放問題について等。 アリス・ミリアとスザンヌ・ランランと人見絹枝。 ジム・ソープとカール・シュランツ。 とりあえず外国の人の名前の横文字を探すのが一々苦労する。 Alice Milliat, Suzanne Lenglen な…

試験の季節

みなさん一年間御苦労さまでした。試験が終われば あとは遊べよ若人。 ところで、試験勉強を景気づけるために是非観ていただきたいのが、 今現在、IOCのサイト Olympics | Rio 2016 Schedule, Medals, Results & News の一番下にリンクのはってあるところの…

たくさん寝る

カナダに移住したフランス人のおじちゃんから、 モーパッサンと日本とに関係はあるのかな、と思って 検索してたらあんたのサイトを見つけて、まさか 日本人がモーパッサンのサイトを作ってるとは思わなかった たいしたもんだ、絵もよく似てるぞよ。 というお…

フランク・ハリス!

その内調べましょうね、とか思っていると またまたまた(何度目だ)Kさんに速攻で教えて頂いてしまう。 Albert-Marie Schmidt, Maupassant, Seuil, coll. "Ecrivains de toujours", 1979 の108頁は "Chair" と題する、モーパッサンの社交界の女性達との 恋愛…

大事な日

大阪四季劇場で13時より『オペラ座の怪人』を鑑賞。 1階L列2番。実に見事なスペクタクルで、 なるほどこれは凄かった。 寒空の下移動して、セドリック・クラピッシュの『パリ』を観る。 今のパリに住む普通の人たちの群像劇という感じだけれど、 まあ普通の…

これを機会に

と超特急で読む。 ガストン・ルルー、『オペラ座の怪人』、三輪秀彦 訳、創元推理文庫、1995年(27版) 原作は1910年で、やっぱり雰囲気はルブランと近いように感じる。 幻想を作り出すオペラ座全体を一個の幻想的・非現実的空間に仕立てあげ ゴシック・ホラ…

名句の出所は?

ところでフランスの絵葉書には、著名人の名句を使った シリーズがあって、私が見たことあるモーパッサンのは二つ。 ひとつは Un baiser légal ne vaut jamais un baiser volé. (« Confessions d'une femme » (1882), in Maupassant, Contes et nouvelles, Ga…

現代フランスについて2冊

小田中直樹、『フランス7つの謎』、文春新書、2007年(2刷) はフランスに生活して感じる身近な疑問を、フランス史を遡ることで 考え、同時に日本との比較考察も試みるもの。切り口がうまい。 軍司泰史、『シラクのフランス』、岩波新書、2006年(3刷) は、…

ベラミ

Bel Ami, 2004 そんな中、2004年9月フランス2で放映された、このテレフィルムが DVDになったのは嬉しいところ。 監督は Philippe Triboit。 ぱっと見たところ、ポイントは2点。 1点はとにかくスピーディーなこと。105分の中で『ベラミ』一冊分、 すなわち貧…

美貌の友

モーパッサンの作品の映画化・テレビドラマ化は ジャン・ルノワールの頃から数多くあるのだけれど、 多くは簡単には観られないのが実情である。

とりあえず色でも

なんだからちがあかないので、 とりあえず色でも塗ってみる。 (ああ言葉まで意味不明。) いやさ、本当にしたいのは、 こういうことではないのであるが、 新しい道具を入手して、試行錯誤中。 て、あたしゃ新年から何をしているのか。 なんしか、カラーのモ…

戦場のピアニスト

The Pianist, 2002 いわずとしれたロマン・ポランスキー。 先日の飯田さんは大作化および「カタルシス」「エンタテインメント」 の文脈で、『シンドラーのリスト』の次にこの作品を挙げている(186頁)。 なるほど商業的に大成功であり、ヤマ場のエピソード…

調子あがらぬ正月かな

年末からこのかた、いわく言い難い程度に体調不良で どうにも困ったもんだ。 そういう時は映画でも観るかと。

独裁者

The Great Dictator, 1940 そういうわけで以前に購入のこの作品を観る。 ずっと前に観た時は素直に感動に溢れた最後のシーンが 驚くほどストレートなメッセージであることにこの度は若干驚く。 年を取るというのは度し難いものだ。 飯田さんご指摘の通り、こ…

年明けて

2009年もどうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。 おもむろに読書。 飯田道子、『ナチスと映画 ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか』、中公新書、2008年 前半はナチスがどう映画を利用したかで、そこにもちろん リーフェンシュタールも出てくるので拝読。…