えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

さむい

もう9月も終わってしまう。とそんなことばかり言っているうちに、 急に涼しくなって、なんだか寒いくらい。季節の変わり目は風邪に注意しよう。 もう秋というより、どう考えてもやっと秋だけど、なんとなく複雑な気持ち。

秘事・半所有者

河野多恵子『秘事・半所有者』新潮文庫、2003年 簡にして要を得た菅野昭正の解説の通り、「『秘事』は絵に描いたように幸福な夫婦、幸福な家庭の小説」。 派手な事件はなんにもないままささやかなエピソードが連ねられ、そのまま最後まで行き着いてしまうこ…

本が売れれば家が建つ

半年に一度の研究会。お題はブルトンとヴィアンとパスカルでした。 昔は本が売れたら御殿が建ったという話を聞く。 なるほどゾラは『居酒屋』が売れてメダンの土地を買い、 『メゾン・テリエ』が売れてモーパッサンはエトルタに別荘を建てたのだった。 ちと…

あいのさんか

二回目終了。みなさん、ピアフの歌声いかがでしたでしょうか。

おおおお

待望の『21世紀少年』下巻を読む。とりあえず これだけ楽しませてもらって、ありがとうでした。

道楽者にされた男の請願

Pétition d'un viveur malgré lui, 1882 「ジル・ブラース」1月12日、モーフリニューズ名義。シュミット版初収録。 viveur は古い言葉だそうで、原義「生きる人」が転じて「道楽者」「遊び人」になるあたり、なんとなく フランスらしさが出ているような、と…

不意の声

河野多恵子『不意の声』講談社文芸文庫、2005年(4刷) たいへん気持ちの悪い小説である(というのは褒め言葉だと思うんだけど)。 お母さんを殺すまでに至る経過をこと細かく追っていくところが何より怖く、 人を殺すことの(文学的)リアリティーみたいな…

虫も鳴く鳴く月夜かな

昨日と打って変ってすごい本を読む。

初恋

トゥルゲーネフ『初恋』沼野恭子 訳、光文社古典新訳文庫、2007年(2刷) 私によく分からないのは、 翻訳者が断言しているので弱ってしまうのだけれども、 「ジナイーダの初恋の相手がウラジミールの父」だった、というのでいいのだろうか、ということ。 確…

はつ恋について

初恋というものは美しいものだ。というのは、物語がすべて過去形によって語られるように、初恋は思い出によって語られるから。 福永武彦『愛の試み』新潮文庫、2001年(41刷)、46ページ。 なんとも気恥ずかしいお言葉であるが、しかしまあそういうもんであ…

流れついた人々

Épaves, 1881 「ゴーロワ」12月9日。シュミット版初収録。 私はよそ者の発った後の十二月の海が好きだ。もっとも、もちろんのこと、ごくあっさりと好きだというわけだけれど。私は、夏の保養地と呼ばれる土地に三日ばかり滞在しにやって来たのだった。 (1巻…

ハードボイルド

レイモド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』村上春樹 訳、早川書房、2007年 を堪能。恥ずかしながら初めて読みました。しびれました。

ぼくの妻

Ma femme, 1882 「ジル・ブラース」12月5日、モーフリニューズ名義。コナール版『メゾン・テリエ』初収録。 既婚男性同士の食後の会話(モーパッサン短編の一タイプ)。独身時代の昔話に花を咲かせ、結婚について 話すうち、真面目な顔で「もう一度やり直せ…

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する

亀山郁夫『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』光文社新書、2007年 これはすごい本で、限られた状況証拠を綿密に検証しながら、文字通り、書かれなかった 「カラマーゾフ」の「第二の小説」の内容を推定してゆく様は見事なものだ。 俗に言う推理小説的面…

ミナミにて

久し振りの人たちとお会いしてチャーハンを食す。夜は観覧車。

一回目

後期一回目とりあえず終了。 慌てて答え合わせをすっ飛ばしてしまってごめん。 次からゆっくり目で行こうと思います。

授業の準備

もうすぐ後期が始まりますよ。長くて短い夏休み。 もちろん世間的には十分長いんだけど。 借り出した本を備忘録代わりに記しておく。 La Fabrique du Moyen Âge au XIXe siècle. Rerpésentation du Moyen Âge dans la culture et la littérature française d…

忘却の河

福永武彦『忘却の河』新潮文庫、2007年(33刷改版) 私には福永に関していろいろと先入見があるのだけれど、 結局のところ二日で読んでしまう。とてもよく出来た小説だ。 引っ掛かりがあったのは「忘却の河」と題される第一章における「実験的」な手法であり…

引っ越し

引っ越しのお手伝いで、甥っ子と初対面。すくすく育ってくれたまえ。

敵あるいはフォー

J・M・クッツェー『敵あるいはフォー』本橋哲也 訳、白水社、1992年。 『マイケル・K』の後がこれということにびっくりする。 これまでも分からないところはいろいろあったけど、今度のは本当によく分からない作品で、 メタフィクション的な仕掛けがうま…

ダン(スタン)およびオッド・ナンバー

久し振りに Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine を覗くと、あらびっくり。 トロント大学から、 The life work of Henri René Guy de Maupassant, Akron, Ohio, St. Dunstan Society, 1903. が出ているのであ…

雨降る土曜

昨日は韓国料理で大笑いで、マッコリのせいかどうか、うつらうつらの土曜の午後。

尋ね人

案外、ブールジェとかミルボーとかの近場の人なのではとちらちら見るも該当しないっぽい。 それより何より気になるのはやはりウィーン、プラハの地名である。 19世紀末のフランスで活動した東欧系の作家。 あるいはフランス人だけど東欧(チェコ、オーストリ…

遺贈

Le Legs, 1884 9月23日、ジル・ブラース。「ル・ヴォルール」10月23日。 『ベラミ』第2部6章の挿話を抜き出して短編に仕上げたもの。 セルボワ夫妻のもとへ足繁く通っていた友人ヴォドレックが亡くなり、 夫は彼が二人に財産を遺贈しなかったことをいぶかし…

偽作の出所(3)メズロワ(2)

ガリカを離れて素直にメズロワで検索すると、 http://www.miscellanees.com/index.html に短編が挙がっている。 René Maizeroy - Wikisource にも同じものが挙がっているのは、多分上から取ってきたのだろう。 おお。さて出所は、 La Fête, Ollendorff, 1893…

また見っけ

舌の根も乾かぬうちにまた見つける。

偽作の出所(2)ジャン・リシュパン

とはいえ、発見はまだ他にもある。 まず、メズロワの続きとしては、 Le Mal d'aimer, Éd. Rouveyre & G. Blond, 1882. の冒頭作品、 Les cierges de Margot というのが、ダンスタンでいうと3巻の、 Margot’s Tapers の元であった。残り11作は今のところ該当…

見つけたのつづき

『悪魔伯夫人』とは誰なのか モーパッサンの偽作に関して(1) をいちおう改訂。しれっと書いてある(つもりだ)けれど、ここまでに半年かかった。 出発点はこの『悪魔伯夫人』なる代物だったのだ。この翻訳者、勝見勝どのが、 アルバン・ミシェルとマンツ…

偽作の出所(1)ルネ・メズロワ

さんざん悪戦苦闘した挙句、すでにスティーグミュラーと大西忠雄が調べた結果にようやく辿り着いた 時点で力尽きてしまった偽作の話であるが、遂に一つの発見に至ったのである。 できればちゃんとしたところに発表したいようなものだけれど、とくにあてもな…

見つけた

これもなにかの縁じゃろか、ということで久しぶりの偽作のお話。 ええそうですとも、逃避でごんす。