えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョゼフ

Joseph, 1885 7月21日、ジル・ブラース。『オルラ』所収。 「ラ・ヴィ・ポピュレール」1887年7月14日、「ラ・ランテルヌ」別冊、1888年1月22日再録。 彼女たちは酔っていた。すっかり酔っていたのである、小柄なアンドレ・ド・フレズィエール男爵夫人と、小…

月末だ

おお、8月が終わってしまう。暑かったけど名残りおしいわあ。 ところで届いた本。 Pierre Gascar, Le Boulevard du Crime, Atelier Hachette / Massin, 1980. めずらしくモーパッサンとは関係がない本の購入。やたら重いのに焦る。 「犯罪大通り」ことタンプ…

マイケル・K

J・M・クッツェー『マイケル・K』くぼたのぞみ訳、ちくま文庫、2006年。 絶対的に自由であろうとすること、あるいは可能な限り関与から遠ざかろうとすること。とその苛酷さ。 そういう主人公の生き様が否応もなく暴力の存在を暴かずにはいないということ…

けだるい午後

寝不足でふやけた頭で。

リアリズムは本音の世界

本業に疲れたのでおしゃべりを。 言うまでもなく、リアリズムとは本音の世界であります、ということについて。 現実を、あるいは真実を描け、という主張は、世の中は必ずしもそういうところではない という認識があって初めて成立します。「現実」を覆い隠す…

終われり

Fini, 1885 ゴーロワ、7月27日、『行商人』初収録。 「ヴォルール」8月27日再録。ロルムラン伯爵は鏡を前に服を着替えたところ。頭は白いがまだ十分に男前でお腹も出ていないことに 満足し、「ロルムランはまだ生きている!」と呟く。 それからサロンに入っ…

原稿原稿

思い立って、というか追い詰められて次の原稿書き。 半角英字66字×28行で20枚以内。注・図表類を含む、と。なるほど。 ところでここだけの話であるけれど、ワードの設定で全角33字としたところで、 実際の文字数はぜんぜん66なんかにならないのは、皆様ご承…

ヘアー・ピン

L'Epingle, 1885 ジル・ブラース、8月13日、モーフリニューズ。『パラン氏』所収。 「ラ・ヴィ・ポピュレール」1886年2月25日。『新デカメロン』二日目。 「ラントランシジャン・イリュストレ」(「一徹者」と訳すのか)1891年10月8日、 「プチ・パリジャン…

りきさく

せっかくなので描いてみました。我ながら力作かと。(BGMは『ジャイアント・ステップス』) ほんとはがんばって手まで描いたので、いずれHPで公開したいなと。 むさくるしいおっさんを描くより断然楽しかったと言わねばなるまい。 サラ・ベルナールの写…

モーパッサンとサラ・ベルナール

さて、お話はいつものようにモーパッサンである。 1878年初頭、ようやく書き上げた韻文歴史劇『レチュヌ伯爵夫人』の原稿をどうするか。 フロベールはコメ・フラ支配人ぺランに渡すことを請け負ってくれる。一方でゾラが サラ・ベルナールに渡す役割を引き受…

黄金の声

サラ・ベルナールといえば黄金の声なのである。 やんちゃな娘が「女優になるの!」と宣言してコンセルヴァトワールに入り、 めでたくデビューするも鳴かず飛ばずでほっぽり出され、娼婦まがいのよく分からない生活の後、 オデオン座に復帰してコペーの劇で大…

7月の打率

思い立って数を数える。 31日中、16編だ。おお、がんばった。 打率.516. これなら首位打者まちがいなしである。 って1日1編を目標にしていながら喜んでいいのかどうか。 しかも今月は散々だし。 ま、ええやないか。

書くことがない

一日なにをしたのだろう。と思ってしまうが、本業に勤しんだのです。

まご引きつづき

「するめ」の詩の大事なところは最初の「とうとう」にあると、私は思う。 それはそうと川崎洋については エラーページ で教えていただいことしか知らないのであるけれど、そこで引用されている詩を これまた孫引きさせていただきたい。 花と魚の関係 川崎洋 …

すてきな詩をどうぞ

そこで買った内の一冊。 川崎洋『すてきな詩をどうぞ』ちくま文庫、1995年。 本職の詩人がよい詩を選んでいるのでどれもよい詩なのは当然ながら 素人の私にもよくわかる詩ばかりなのが嬉しい。 その場の思いつきの感想(そりゃ私のことだ)でない解説も丁寧…

古書店の面白さ

土曜日はたいそう久しぶりに花火を見る。黄色と緑と紫の色が好き。 線香花火みたいにぱちぱち弾けるのも捨てがたいながら、しだれ桜のように流れるのが やはり王道と言いたい。ま、結局のところは 全部綺麗でした。 久し振りに少しの時間、古本屋を覗く。 当…

ペシミスティック

若干、昨日の続き。 哲学的真理の探究というそれ自体もっとも人間的なはずの試みに専心した結果、動物の境遇に身を落とすという逆説。 『エラクリウス・グロス博士』もまた、人間と動物との関係を問題にしている。そこで思い出すのは次の言葉。 Faut-il être…

マノン・レスコー

アベ・プレヴォ『マノン・レスコー』河盛好蔵 訳、岩波文庫、1997年(73刷)。 恋愛には金が必要である、という赤裸な真実を語った書であるということにまず注目。 恋は富よりもはるかに強い。恋は財宝よりも富裕よりもはるかに強い。けれど恋はそれらの力を…

どうぶつせい

たんぱく質の話ではなく。昨日の「シギ」について追加考察。 学校に行ったこともなく放っておかれたガルガン(羊飼い)と、15でアル中で貞操の観念ゼロのラ・グットの 表象のあり方は明らかに動物的だということである。「人間性」が理性とか知性とか精神と…

シギ

Les Bécasses, 1885 ジル・ブラース10月20日。『パラン氏』所収。 「ラ・ランテルヌ」1889年2月24日再録。 親愛なるあなたへ。どうして私がパリに帰らないのかとお尋ねですね。あなたは驚き、ほとんど気を悪くしていらっしゃる。これからお話する理由を聞け…

ゴリラとリビドー

それはそうと、 Pierre Danger, Pulsion et désir dans les contes et nouvelles de Guy de Maupassant, Nizet, 1993. 「モーパッサン中短編小説における欲動と欲望」という凄い題の本を読んでいると、 『エラクリウス』に出てくるお猿について、こんなこと…

とりあえず遂行

どうにかこにか一枚縮める。こういう場合 必要不可欠ではない(取っ払っても論旨に問題ない)箇所はばっさばっさと切るしかないので、 切り取ってみれば、なんかすっきりしたなあ、と思ったりするのである。うーむ。

推敲を遂行せよ(なんちって)

フランスの学校の夏休みは9週間。でも一般の考えに反し、ヨーロッパでは平均的な 長さなのである。長いところでは13週間とか、夏休みなのだ。 という記事を読む。うらやましいぞルーマニア。 てなことを思いながら、お盆もなんにもない私。 思い立って『エラ…

つかれた

ある時思い立って、 モーパッサン 時評文 リスト1 の改訂にいそしむ。 Guy de Mupassant, Chroniques, édition complète et critique présentée par Gérard Delaisement, 2 tomes, Rive Droite, 2004. にはそれまで単行本収録のなかったクロニックが多数入っ…

おくりもの

Étrennes, 1887 ジル・ブラース、1月7日。死後出版『行商人』初収録。 全集訳は「おくりもの」であれれと思う。普通に言えば「お年玉」。 ま、いい歳こいてお年玉もないので、「新年の贈り物」というものであろうか。 ジャック・ド・ランタルは大みそかの夜…

詩の本

項目を立てるほどのことはないけれど、最近立ててないので。 一時期集中的に詩の勉強をしたのはもう二年前のことで、今やどうにかシラーブが数えられるだけに なり下がったのではあるが、しかし詩法はちゃんと勉強するとものすごく奥が深くて面白い というこ…

詩の復習

思うところあって詩についてちょっと復習。

遺書

Le Testament, 1882 ジル・ブラース11月7日。『山鴫物語』所収。 「プチ・パリジャン」1890年6月22日別冊、「ラントランシジャン・イリュストレ」1890年10月9日再録。 ポール・エルヴュー Paul Hervieu (1857-1915)献辞つき。 「私」の友人ルネ・ド・ブルネ…

あついあつい

せっかくなので不倫の話の続き。 リュヌ伯爵夫人の後継として真っ先に浮かぶのはやはり 「あだ花」L'Intuile Beauté (これはよい訳語)の主人公ガブリエル・ド・マスカレ伯爵夫人だろう。 彼女は「忌まわしい牡による支配」「出産という強制労働」(まさし…

持参金

La Dot, 1884 ジル・ブラース、9月9日。『トワーヌ』所収。 「ル・ボン・ジュルナル」1885年6月21日。「ラ・ランテルヌ」1888年12月9日。 1890年、フラマリオン刊行の短編集『いなか娘のはなし』にも収録。 公証人シモン・ルブリュモンがジャンヌ・コルディ…