えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

「食後叢書」12巻

すっかりめんどくさがって放置してあったお題である。
遅まきながら次の論文を拝読。
牧義之「英訳モーパッサン短編集「食後叢書」に関する考察 ―新出十二巻本をめぐって―」、『北の文庫』、第42号、2005年8月、p. 1-7.
これまで「食後叢書」は11巻しか出ていなかったとされてきたけれど、実は
12巻が存在し、小樽商科大学付属図書館に収められている、というお話である。なるほど。
ちゃんと目次も掲載されているところが有難い。いずれ要検討。
ちなみに、11巻12巻の翻訳者はD. F. Hannigan といって、10巻までとは別人であるとのこと。
なるほど、なるほど。


で、これを読んでようやく思い出したことが2点。
一つは、
山川篤『花袋・フローベールモーパッサン』、駿河台出版、1993年中には
第四章「「ジ・アフター・ディナー・シリーズ」及びこれをめぐる二つの疑問について」、
p. 115-134.
第六章「「ジ・オッド・ナンバー」について」、p. 145-150.
があったこと。それぞれの書の実態について調べられた記録であり、
「食後叢書」11巻までの目次も載せられている。そうだったそうだった。で、
つまるところ、明治34(1901)年には「食後叢書」が大体の巻出ていたことは間違いなく、
ダン(スタン)の版1903年の方が後であることは間違いなしであると分かりました。
もう一つは、
大西忠雄「モーパッサン偽作一覧表(英語版並に邦訳のもの)」、『日本比較文学会会報』12号、1958年、p. 3-5.
のこと。ここに氏は偽作数を66とし、全部の名前を挙げていたのでした。そうでしたそうでした。で、ここは
スティーグミュラーは65編としていたことがポイントなのである。
それで早速、先日のリストと比べてみると、大西リストには一番最後に

Mad (Elaine) vol. 3

とあってこれが66番目。なるほどそーかー。
40ページもある長めの作品で、なるほど確かに偽作の模様。

そういうわけで多少なりとすっきりした気分になる。
牧さんはその後も調査を続けられているのかどうかが気になるところだ。