えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

翻訳つづき

今日はつづけて13-16章を訳してみる。やればできるじゃん。
大好きなウズラが食べられなくなるあたりから、暗さがどんどん増してゆく。
モーパッサンが最初に長い小説に試みた結果がこの『エラクリウス』
なのだけれど、一読、これがモーパッサンかと思うこと必至なぐらい
後の作品とは違っている。ゾラと自然主義に接触する以前のモーパッサンがここにいる。
フロベールの影響もまだほとんど感じられない。ただし、真実の探究の不可能性という
初期テーマは、『ブヴァールとペキュシェ』に触発されたものだったかもしれない。
ヴォルテールの機智と、ラブレー諧謔を好んだ二十五歳の青年。
改めて驚くのは聖書(しかも旧約)へのレフェランスが頻出すること。そもそも
彼はイヴトーの神学校に通っていたぐらいなのだから、これぐらいの素養はあって
当たり前なのだ、ということに気づかされる。


途中で荷風論を見直して(もう動かせねー)、それから
菅野昭正『永井荷風巡礼』岩波書店、1996年をおさらいして、
秋に出す予定のモーパッサン初期演劇の要旨を書いてみる。
それからまたほそぼそ翻訳。
そんな感じ。