えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

こっかいとしょかんは

毎度ガリカガリカで、そういうなら日本はどうなっているのだろうと
ふと思うと、これは
http://kindai.ndl.go.jp/index.html
なわけである。なるほど、と試しに「モウパツサン」と打ち込むと


1. インキツボ / 田山花袋著,左久良書房, 明42.11. - (文芸入門 ; 第2編)
2. 新片町より / 島崎藤村著,左久良書房, 明42.9. - (文芸入門 ; 第1編)
3. モウパッサン集 / 前田晁訳,博文館, 明44.2


の三件が出ました。おおおおお。なんとなんと
前田晁の『短篇十種モウパッサン集』が出ているではないか。こりは凄い。
この本はモーパッサンの作品集としてほとんど最初に出たものである。古書店にもまず出ない(と思う)。
ありがたやありがたや、と早速拝読するのである。
で結論から言うと、近代デジタルライブラリーは現在のところ、使いがってにおいてガリカに遠く
及ばない。と言わざるをえないようだ。
だって一括ダウンロードさしてくれない上に、画像を拡大するとページが切れるんだもん。
これではちと読みにくいというものだ。勿体ないことじゃないかな。ぜひ改善を期待したい。

それはともかく、この本の「例言」のところに書き込みがあって、これをご紹介したい。

晁よ
英訳をいくら忠実に訳しても
英訳が正しい訳であるという理由にはならなぬ。
(モウパツサンが死んでから云った言)

なんじゃこりゃ。と思うが、一段落目の最後にこう加えてある(別人かな?)

いくらモウパツサンでも死んで物を云ふもんか出たらめを云うない

うーむ。まさかこの落書きのご当人は百年も経ってから誰かに読まれることもあろうとは
お思いではなかったであろう(あるいは花袋かな。いや違うか)。
「いくらモウパツサンでも」という表現がたまりませんな。
ところで本日の読書は
加藤典洋村上春樹イエローページ』幻冬舎文庫、2006年。
大岡信谷川俊太郎『対談 現代詩入門』詩の森文庫、2006年。
でした。