えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ラストサムライ

Last Samurai, 2003
監督はエドワード・ズウィック
今時の若者に「異文化交流で思いつく映画」と聞いてみたら
ダントツの得票数でこの映画が挙がったので、なるほどと観る。
個人的には設定に本当らしさが感じられなかったのに加えて
(一集落を代々守っている武士集団の頭領が、天皇直参(とは言わないのか)で
元老院にも加わって、というのはさすがにありえないのではなかろうか)
映像が徹頭徹尾あまりにも美しいので、これも一つのファンタジーの物語
なのだろうと思われた。
南北戦争に大義を見出せなかった男が、遠い異国の地において、自身の「名誉」を取り戻す。
アメリカ人の「自画像」としてみると、これはいったい何を語っているのだろう。
なにがしか自己批判的であるのは確かなようであるけれども。
そういえばトム・クルーズは最後にアメリカに帰らなかった。
この映画では異文化参入のプロセスがきちんと描かれていると言えるかと思うけど、
それはやはり同化するというのとイコールということだ。
思うに、異文化交流を映画的に表現すると、同化か排除かの二者択一の問題として
提示されてしまう傾向があるのではなかろうか。
それはつまりは我々の文化の示す傾向の反映ということになるのだろうか。
というようなこともついでに考える。
あまりにも美しく、あまりにもノスタルジック。
サムライの映画が売れることはまあそれはそれでよいとして、
サムライの映画しか売れないようだと、いささか悲しいのだよね。