えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

Crebleu !

リュパンの告白』をフランス語でぱらぱら読んでいたら、
アルセーヌ・リュパンは(特に独り言で)けっこう口語というか俗語というかを
しゃべっているのに、ふーんと思う。Canaille(悪党)とかBigre(なんてこった)とか、
なんか懐かしい感じの言葉ですが。
たいして自信もない印象でいうと、なんていうか、ずいぶんと庶民的な感じがする。
昔の人(井上勇とか)は、よく「わが輩」とか訳したものだなあと思ってもみたり。
(「おいら」とかのほうが近いんじゃないかと思うけど、もちろんそれでは
「ぶち壊し」というものでありましょうなあ、やっぱし。)
そいで繰り返し出てくるのが Crebleu ないし Crébleu という言葉で、
これはなんじゃろな、と、手近の仏和辞書を見たら、載ってなかった。
もっとも、これは Sacrebleu (Sacredieu) の省略形で、こちらは載っているのだけれど、
はて、モーパッサンはこんな言葉使ってたかいな、とか気になる。
すると、Sacrebleu は度々出てくるけれど、Crébleu はたぶん一度だけ、
「本当の話」の冒頭で、田舎領主のおっさんが使っているのであった。
ふーむ、なるほど(Crebleuは見当たらない)。
と、なんとなく納得するが、はたして何が分かったというのだろう。
つまるところ、リュパンが庶民の出であることを、ルブランは彼の台詞において
はっきりと明示している、ということは言ってよいのではなかろうか、
ということを思った、ということですが、
鼻水がとまらないので、そいだけです。