えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

11'09''01 セプテンバー11

11'09''01 September 11, 2002
この映画は次の本で教えてもらう。
佐藤忠男、『映画でわかる世界と日本』、キネマ旬報社、2008年
2001年9月11日の事件に対してどう応えるか、という問いを11人の監督にぶつけた作品。
ケン・ローチアモス・ギタイミラ・ナイールらには答えに迷いがなく、
ダニス・タノヴィッチやイドリッサ・ウエドラオゴにとっては、
「お国」の問題が大事な分、事件そのものとは距離があるようで、
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは唯一、事件そのもに焦点を当て、
ユーセフ・シャヒーンは誠実に、板挟みの心境を打ち明ける。
サミラ・マフマルバフは、いささかシニカルに距離をとり、
ショーン・ペンは事件が世界に対して目を開かせたことを寓話的に語る。
いちばんぶれてたのがクロード・ルルーシュかなあという印象。
今村昌平の作品は、映画としての完成度はすごく高いのであるが、
全体から異様に突出していて、そのズレ具合が、日本の状況を象徴してる
ように見えるところがなんか怖い。
平和主義は貫徹してるけど、しかし逃避と紙一重のように見えてしまう。
何を言っていいのかまるで分らないけれど、
国際化の現代をあらゆる意味で象徴する作品なのは疑いあるまい。