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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

物憂い春

逃避のためにデヴィッド・リーン版『オリバー・ツイスト』を観る。1947年。
原作の要点を綺麗に押さえ、終盤はややこしい人物関係を省略してきっちりまとめた佳作かと。
一番良かったのはサイクス役のロバート・ニュートン
あるいは彼のブサイクな犬。
1947年に、典型的な鷲鼻のユダヤ人(さすがアレック・ギネス)が悪者のこのお話を
映画化してよかったものか、と少しばかり思う。
デヴィッド・リーンの『大いなる遺産』が観たいよう。


rienさんご教示どうもありがとうございます。
おおそうか。というわけでとりあえず訳してみる。
やけっぱちな古文調。こういうことすると言葉の知らなさに愕然とし、
無教養がばればれになるのであった。墓穴だ。
ご寛容願います。

回春(Stéphane Mallarmé, "Renouveau", 1866)


病みし春は悲しみの内に追ひ払ひき
冬、静謐なる芸術の季節、明澄なる冬を
されど、陰鬱なる血の統べる我が存在の内にて
不能は長き欠伸となりてその身を伸ばす


古き墓の如くに鉄輪の締め付けし
我が頭蓋の下に白き黎明の温まりける
悲しみて、我、儚くも麗しき夢追ふてさ迷はん
精気の無辺に気取りし田野を


倦み、木々の香りに酔ひて倒れん
額にて我が夢に穴をも穿ち
リラ芽吹きし熱き土をば噛まんや


沈みゆく我は待てり、我が憂鬱の立ち昇るを…
―さはれ、蒼穹は垣根の上に笑ひ、群がりし
鳥は目覚め、花咲く如く、陽に向けてさえずらん

「回春」という訳もどうかと思うが、「再生」転じて春を表す詩語を他に思いつかず。
うーむ、分かりやすい(原詩は)。
ステファヌ・マラルメ君、若干24歳。ばりばりのボードレール調でしょうか。ちょっと違うとこもあるけど。
春が来ると精気に溢れて野原を駆け巡るモーパッサンとえらい違いだ。
それはともかく、してみると西脇順三郎の詩も、
この春の物憂さをこそ意識したものであるのかもしれません。
改めて感謝を。


なんの脈略もなく付け足し。
先日、本屋で見かけておおそうかと思った本。
鹿島茂コレクション1 グランヴィル―19世紀フランス幻想版画―』、求龍堂、2011年
これが全部個人のコレクションというのが凄すぎる。
個人的にはグランヴィルの絵はそんなに好きになれず、
次はガヴァルニだろう、と勝手に期待しておりますが、どんなもんでしょう。


さらに脈略なく付け足し。
清水徹、『ヴァレリー―知性と感性の相剋』、岩波新書、2010年
ヴァレリーのプライヴェートな情報もようやく公開されるようになってきて、
生涯に何千通もの恋文を書いておったという、知られざる伝記的事実が語られている。
既にヴァレリーに関心のある人には興味深いかもしれないが、
そうでない私のような者には、正直「ふーん」という話ではありました。残念ながら、というか何というか。