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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

エッフェル塔の潜水夫

ところでもうずいぶん立つけれど、
ピエール・カミ、『エッフェル塔の潜水夫』、吉村正一郎訳、ちくま文庫、1990年
を読みました。
原著は、Pierre Cami (1884-1958), Le Scaphandrier de la Tour Eiffel, 1929.
ユーモア小説とミステリーと冒険ものとを全部一まとめにしたかの如しで、
なかなかない味わいです。
これだけの頁書いて、最後はちゃんと解決つけて大団円であるという「真面目ぶり」が凄い。

地上三百メートルの天空にそびえ立つエッフェル塔、水底深くもぐる潜水夫、無限大の距離にある、似ても似つかぬ、とてつもないこの二つのものをひとの意表をついて組み合わせたところに、作者の奇想天外な着想の妙があり、それをフランス的な合理主義のミシンの糸であざやかに縫いつけてみせたところに、作者のミソがあるわけである。
(訳者あとがき、436-437頁)

なるほど。
ちなみに、ピエール・カミには『三銃士の息子』という作品があるらしい。
三銃士の三人ともが愛した女性に子どもが生まれ、
誰の子どもか分からないので「三銃士の息子」という名前をつければいい、
とアラス、アラミス、ポルトスの三人が名づけた、そのご子息の冒険譚、
というまことに馬鹿馬鹿しいお話。
大胆だ。