えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

時はすぎゆく

2月前半、買ってもらえるかどうか分からないまま翻訳に勤しむ。
昨日、ご採択いただけるとのご連絡あり。あれ嬉し。
2月後半、頼まれて翻訳のお手伝い。及び関東遠征。
3月に入って、これも買ってもらえるかどうかはまだ定かならぬ
問題集のお仕事。合間に発表のレジュメ書き。
近頃の寝る前読書はアルフォンス・ドーデの『風車小屋だより』。
田舎暮らしの市井の人々の生活情景を切り取って描くドーデの筆は実に巧みで、
しみじみと情感があふれでる。
一方で「スガンさんのやぎ」や「法王のらば」のような寓話も交えるところがなお上手い。
法王のらばはティステ・ヴェデーヌという小悪党にいたずらされた恨みを7年間抱きつつ、
ひずめを研いで過ごした。
そしてついに復讐の機会が訪れる。

――さあ食らえ! 悪党め! 七年間のおあずかりだ!
(ドーデー、『風車小屋だより』、桜田佐訳、岩波文庫、1958年改版、65頁)

原文を確認。

"Tiens ! attrape, bandit ! Voilà sept ans que je te le garde !"
(Daudet, "La Mule du pape", in OEuvres, t. I, Gallimard, coll. Bibliothèque de la Pléiade, 1986, p. 284.)

「七年間のおあずかり」は良い訳だなあ。