えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

あるパリのアヴァンチュール

モーパッサン 『あるパリのアヴァンチュール』
モーパッサンの短編を翻訳しました。
新庄嘉章訳では「パリの経験」と訳されている作品。ここで aventure はもちろん「情事」も含意しているが、もう少し広い意味で「向こう見ずな冒険」のニュアンスを汲み取りたく、仕方なくカタカナ表記にしました。
論文でもたびたび取り上げた、なにかと個人的に愛着のある作品。言いたいことの要点は「解説」に記してみました。
お読みいただけましたらたいへんに幸甚です。


この作品の「彼女」には名前がないところがしみじみ感慨深く思われる。
ところで彼女は1,500フランで人形を買うのだが、1フラン千円だと150万円であるから、これは相当に高い。彼女はどうしてそれだけのお金を持っていたのだろうか、と気にかからないでもないが、それよりなにより気になるのは、この不細工な人形は、結局のところ最後どこに行ったのであろうか。