えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

つかれた

ある時思い立って、
モーパッサン 時評文 リスト1
の改訂にいそしむ。
Guy de Mupassant, Chroniques, édition complète et critique présentée par Gérard Delaisement, 2 tomes, Rive Droite, 2004.
にはそれまで単行本収録のなかったクロニックが多数入っているので、これに合わせることにしたわけである。
ま、一体どうなっとるんだね、というのが分かるように自分のために存在するリストである。
多くは、後に旅行記に収録されることになる旅行記事だ。もちろんそのまま収録されるわけではなく、
修正・削除をともなっているから、詳しく比較検討すればそれなりに面白い。けど面倒なしごとではある。
他の中では「ルース先生の文学理論」など、ゾラがらみの時事ネタを題材に、文学の道徳的判断に断固反対する
モーパッサンの姿勢が鮮明でたいそう興味深い。「麗しき演説」は当時は紙面に出なかったアカデミー批判。
「アシェット社の独占」は駅のキオスクでの書籍販売は当時アシェットが独占していたところ、
女の一生』の販売を拒否されたので、俄然怒ったモーパッサン、同僚を集めて抗議行動に出た
その一貫として書かれたもの。法律の文面を引き合いに出して主張するモーパッサン
紛れもなく本気である。実際に禁止を撤回させてしまうわけだけれど、彼の行動力に驚かされる。
と文学関係だけでも大事な記事がいくつかある。他に面白いのは
「偉大な情熱」というもの。奥様との対話で成るこの一文、恋愛よりも酒と賭博の方に、
あるいはビリヤードや狩りや釣りの方に、どれだけ人は熱中するでしょう。とからかう変な文章だ。
終生かけてドゥレーズモン先生が集めたクロニックは総数252。10年たらずで300の短編の他にこれだけ書いて
それをまたリライトして本にもしてと、改めてモーパッサンの馬車馬的活動力に感嘆する次第。