えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

王と鳥

Le Roi et l'Oiseau, 1980
一見したところはすごく単純な物語でありながら、細部があれこれずらしてあることで、
謎の多く奥行の深い作品に仕上がっていることよ。
私が興業主だったら、ええからハッピーエンドで子どもでも分かるようにしておくれ
ということで、それがまあ『やぶにらみの暴君』(1955)ということだったのかと
勝手に推測する。
壊してしまうのは勢いでできるが、壊してしまった後は途方に暮れるしかないということか。
そもそも壊してしまったのは鳥の意志だったかどうかもよく分からず、
ラストには鳥も恋人たちも、人そのものが出てこない。
絵柄の綺麗なコメディ・ミュージカルみたいな清澄さの後に残るのは、
実のとこずいぶんと殺伐とした気分ではなかったかと。
脚本はポール・グリモーとジャック・プレヴェール。台詞はプレヴェールで監督がグリモー。
なんかよう分からんが、なるほどなあと思う次第。