えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

大人の読書

なんとなく、今さらのように、
小倉孝誠、『「感情教育」歴史・パリ・恋愛』、みすず書房、「理想の教室」、2005年
を読む。まことに明快明瞭。
『感情教育』は主人公フレデリックに語りの焦点が当てられているにもかかわらず、
その主人公に対して批判的距離を保つことを、読者に要請する。
(そうでないととても最後まで付いていけない。)
フロベールの小説はいつでもそのように書かれている。
書物に耽溺せずに常に批判的思考を保ちつづけよ。
読者に小説の読み方の「変更」を求めた作家、それがフロベールだと思う。
つまり、フロベールを読むことで「大人の読書」の何たるかを学ぶことができるのだ。
このシリーズは高校生に宛てて書かれたものだったかと思うので、
私的売り文句を考えると、この「大人の読書」に行き着きました。

フロベールを読んで大人になろう。

うむ。しかし今時、これははたして「売り文句」たりえるのであろうか。
じゃ、こんなんではどうか。

一流の「読者」を目指せ。