えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

地軸変更計画

ジュール・ヴェルヌ、『地軸変更計画』、榊原晃三 訳、創元SF文庫、2005年
『月世界へ行く』から20年、「大砲クラブ」の面ふたたび登場で、
大砲を垂直にぶっ放せば月旅行、水平に撃てば今度は「地軸変更」
という馬鹿馬鹿しさが素晴らしく、情けない落ちもまた素晴らしい。
(これはつまり「女性は科学の敵」ということなのか。)
後年のヴェルヌには科学主義に対する悲観的な思想が表れてくる
という話だけは知っていて、なるほどこういうものかと思うほど、
めちゃくちゃな人たちのお話であった。
原題はSans dessus dessous で文字通り
「上も下もない」てんやわんや、というのも見事なタイトルで、
邦題はネタばらしになっているのは、まあ致し方なし。
それにしても地軸変更が巻き起こすはずの大変動の説明が
ぜんぜん理解できないままなのであった。