えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2007-01-01から1年間の記事一覧

こたつ登場

おもむろに、 モーパッサンとサラ・ベルナール を掲載。以前のブログを加筆修正。 絵の完全版はデッサンのページにこっそり掲載。ちとでかすぎる。 その後、おもむろに原稿を書きはじめる。 五枚でいいのにあっという間に六枚目途中。 面白くなあれ、面白く…

初暖房

思索のつづき。 77年演劇『リュヌ伯爵夫人の裏切り』は、その後『レチュヌ伯爵夫人』で自己検閲的 修正が施されるとはいえ、不当な結婚制度の被害者としての女性の、男性弾劾と挑戦の 主張に他ならない。 第二帝政以来のブルジョア演劇において不倫は最も頻…

コントとクロニックの近親性

てなことはともかく。 この半年折に触れ述べてきたことの一つは、 モーパッサンのコントは新聞という特殊な媒体を意識して書かれたものであり、そのことを抜きに 彼の特殊なレアリスムは理解できないということであり、フィクションとノンフィクションの境界…

時の経つのが早すぎて

ついていけてません。 いい加減12月1日の発表原稿を書かないといけないのであれこれ考える。 お題は、 「封じられる女の声―モーパッサン初期作品における女性の表象」 おお、フェミニズムみたい。 対象となるのは戯曲『リュヌ伯爵夫人の裏切り』(1877)、詩篇…

広津和郎訳『女の一生』

モーパッサンの日本受容において忘れてはならないことの一つが 英訳に紛れ込んだ偽作であるなら、もう一つは検閲ということになろう。 清水考純「フローベール・モーパッサン・ゾラ―大正期の翻訳 そこで禁圧されたもの」『國文学 解釈と教材の研究』第47巻第…

これぞ円本

今日は7回目でした。そいで来週はまたお休みなのであります。

蒲団(2)

ところで『蒲団』において明確なのは、時雄君のは恋愛というより、田中君の登場によって掻き立てられる 嫉妬こそが中心を占めているということであり、「他者の欲望を欲望する」というルネ・ジラール式 の模範的事例となっていることだ、と思う。 その意味で…

さむくなりました

裸足でいると寒いのでいい加減部屋の中でも靴下を履くようになる。だから何だ。

蒲団

田山花袋『蒲団・一兵卒』岩波文庫、2002年(改版1刷) 率直に申し上げてあんまり上手ではない。 作品としての完成度からいえば、「今読んだら稚拙凡庸」(白鳥)などと言うのはいささか極端にしても、主人公への批判的な造型力不足からくる不透明で濁った感…

がっかい参上

土日は学会へ。同志社でやっていた日本法哲学会ではなく。 面白い研究発表について考える。 面白い研究発表はやはり面白い短編小説(モーパッサン)のようであるのかもしれない。 そうすると、もしかすると、 オチが必要なのかもしれませんよ。 そう考えると…

花袋「西花余香」

明治期の日本でのモーパッサン受容に関しては、絶対に外すことができないのが田山花袋である。 ということは常識でありながら、しかしまあなんつうか、食指が動かないのであるなかなか。 しかしぼちぼちと検討してゆきたい。花袋のモーパッサン受容のありか…

花袋でも

先週は学園祭、今週は入学試験でお休みです。

書き写す

昨日のコピーを度々眺めるも分からないものは分からない。 そのうち「心眼」で読めるようにならないかしら。 なんだか勢いがついて、他の新聞記事も幾つか書き写す。 きっちり全単語読めると素直に嬉しい。どうにもならないものもある。 翻訳と違ってその人…

粗忽者

昨日、複写依頼した論文のコピーを図書館で受取り、 ほほーい、と封筒を開けたら頼んだのと違う論文だった。 なんじゃこりゃー、と思って確認すると、 書誌事項を転記し間違えていたのは自分だったと気づく。 いやはやどうもすみませんでした。 今日は、ふと…

今日はなにをしたのだろう

か分からないまま一日が過ぎるとむなしいので気をつけよう。 気をとりなおして自分の荷風論の校正。引用間違いにのけぞる。 明治41年4月17日西村恵次郎(渚山)宛書簡は、『断腸亭尺牘』にも収められているので 注意しないといけません。しかも異同がありま…

太宰「思い出」

ふと目に入ったので記しておこう。 太宰治「思い出」(『晩年』所収)の三章の冒頭へん。 (前略)「美貌の友」という翻訳本のところどころカットされて、そのブランクになっている箇所へ、私のこしらえたひどい文章を、知っている印刷屋へ秘密にたのんで刷…

付箋がない!

怒涛のいきおいで校正のお仕事。 要確認の箇所にふせんを貼りまくったら無くなる。 えーい、どーんと持ってきやがれい、と意味もなく思う。 疲れたので息抜きにお絵かき。 機は熟せり、の渾身のモーパッサンが完成。 おお、これこそ本物のもうぱつさんせんせ…

未刊の歴史の一ページ

Une page d'histoire inédite, 1880 「ゴーロワ」紙、10月27日、コナール版『太陽の下に』初収録。 まだ若い頃のナポレオンがコルシカに滞在時に遭遇した一事件に関する物語。 以下の物語は隅々まで信憑のあるものである。私はほとんど聞き書きに記したので…

さらば10月

いや困った。

どーでしょーか(しょーもないお約束)

絶賛(うそだけど)公開中のデッサン集 Dessins autour de Maupassant にこっそりドーデの絵を追加。(「ドーデー」の方が一般的かな。どっちがいいのか難しい。) モーパッサンはドーデと親交があり、敬意も払っていたけれど、しかし彼特別に 評論を執筆す…

バラの葉陰とは何か

1870年代モーパッサン演劇で実は忘れていけないのは、 A la feuille de rose, Maison turque なる作品である。 『バラの葉陰、トルコ館』は、ボート仲間達が寄り集まって冬の気晴らしに作ったという一幕散文の芝居。 1945年にピエール・ボレルが限定200部の…

6回目

さあようやく動詞の活用ですよ。忘れないでね。

自殺

Suicides, 1881 「ゴーロワ」8月29日。 推敲を経て1883年4月17日「ジル・ブラース」に再録、モーフリニューズ。 「アナール・ポリティック・エ・リテレール」1884年8月10日、「エコー・ド・ラ・スメーヌ」1889年7月7日、 「ランテルヌ」別冊1890年8月10日、…

アンジェリュス完全版

L'Angélus 1991-2006, Association des amis de Maupassant, 2007. を後ろに控えるかえるである。言うまでもなく。かっこいいぞ。 この15年間に出た雑誌『アンジェリュス』(「お告げの鐘」は モーパッサンの遺稿の題名)を全部集めたリプリントの集大成で、…

実はややこしい話

が無いわけではないのだけれど、無党派でいこう。

ココ、ココ、冷たいココはいかが!

« Coco, coco, coco frais ! », 1878 『モザイク』誌、9月14日。コナール版『脂肪の塊』初収録。 ココヤシジュース(と思うんだけど注によると水とタチアオイの混ぜもの?)売りは19世紀の風俗で、 モーパッサンの頃はもう廃れ気味だったらしい。 語り手がお…

検閲のはなし

いつかどこかで買った本 モーパッサン『一夜』、川口彰一訳、文園書院、1946年 をふらっと眺める。すると「淪落の女」という話の途中、娘が村を飛び出してルーアンまで 歩いて行く途中で憲兵隊に会い、声をかけられた場面のこと、「年配の憲兵」が 『ねえ、…

大西忠雄に敬意を表す

ところで春陽堂版3巻本の『モーパッサン全集』は今いくらぐらいなのだろう と思って探すと、ネット上で二件、2万6千円なり。これはいいお値段だ。 もちろん保存状態は大事で、以前真白な紙箱のを古書店で見たことがあって すげーこんな白かったのね。と思っ…

ペレックとルジュンヌ

ペレックを読むルジュンヌは、軽快な語り口でいて鋭いというようなこと。 ディドロのヴェルネ論には相変わらず四苦八苦。後は『エラクリウス』論の校正。

調子にのってはいけないけど

先日の手紙にあった貴重なジョゼフ・プリュニエの署名をつい作ってしまった。 「作った」という言葉がふさわしい、完璧なレプリカとはいえない微妙な代物。 当たり前ながら「モーパッサン」の署名と同じ字なところが実に感動なのである。 ところで、つい調子…