えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

金三角

モーリス・ルブラン、『金三角』、石川湧 訳、創元推理文庫、2005年(23刷)
前半は主人公のパトリスが窮地に追い詰められる大サスペンス。
そこにリュパン登場で鮮やかな解決編が後半。舞台は1915年。原作は1921年。
3億フランの金をめぐってフランス大統領と交渉しちゃったりするスケールの大きさがお見事。
物価の目安として、1フラン1000円換算だと、現在価格3000億円でござる。
それをなんだかよく分からないが外交交渉にあてて、
フランス国家に寄与しちゃうんだから凄い。
戦後時をおかずして出版された、当時の状況に思いを馳せてみる。
ところで、
河盛好蔵、『新版 フランス文壇史』、文藝春秋、1964年
の巻末には「フラン・円平価換算表」というのが載っていて、
1893年1フラン0.310円に始まり、1940年0.096円まで書かれている。
これを見ると、1919年(0.339→0.296)、1926年(0.117→0.069)ごろにフラン値下がり
が起きているのが分かって、へーと思う。
1915年は1フラン0.369円。3億フランが1億1千70万円ですか。なるほどなるほど、
って、大正4年に36銭9厘がどれほどのもんだったか、どっちにしてもよく分かんないのであった。