えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

『フランスの歌いつがれる子ども歌』/「みどりのネズミ」

『フランスの歌いつがれる子ども歌』

 書店で偶然出会った本。

 石澤小枝子、高岡厚子、竹田順子『フランスの歌いつがれる子ども歌』、大阪大学出版会、2018年

 タイトル通り、フランス語の子どもの歌の、楽譜、歌詞(仏日)、それに解説をセットにして、全40曲で構成されている。ブーテ・ド・モンヴェルらの挿絵もとても愛らしく、これまで類書がなかっただけに、これは嬉しい出版でありました。

 全体は9つのセクションに区切られており、「子守歌」「歌いながら遊ぶ歌」「子どもも歌う恋の歌」「怖い歌」「おもしろおかしい歌」「戦いの歌」「ワインの歌」「クリスマスの歌」「あの歌は実はフランスの歌だった」となっている。なんのことはない、「子ども」の歌に歌われているものの実際は、恋あり、酒あり、戦ありと、大人の世界の一切に他ならないという訳だ。私は職業がら、こうした歌をわりと聞いてきたほうだと思うのだけれど、それでも知らなかった歌がいろいろとあり、教えられることも多かった。

 今どき、インターネット上には、画像付き、歌詞付きの動画が溢れているから、実際に音を聞いてみることも簡単にできる。なんといっても、正確な発音と音節に慣れるのに子どもの歌は最適だと思う(文法的に簡単かというと、それは必ずしもそうではない)。フランス語学習者の方にお勧めしたい一冊です。

 

 私のお気に入りの一曲は「みどりのネズミ」(91-93頁)。まったく意味が分からないんだけど、これはただのナンセンスということでいいのだろうか? いろいろある動画の一つを拝借。

www.youtube.com

Une souris verte

Qui courait dans l’herbe,

Je l’attrape par la queue

Je la montre à ces messieurs

Ces messieurs me disent

« Trempez-la dans l’huile

Trempez-la dans l’eau,

ça fera un escargot tout chaud. »

 

Je la mets dans un tiroir

Ell' me dit qu'il fait trop noir.

Je la mets dans mon chapeau

Ell' me dit qu'il fait trop chaud.

("Une souris verte")

 

みどりのネズミが

草むらを走っていた

ぼくは尻尾を捕まえて

おじさんたちにみせた

おじさんたちは言った

油で揚げてごらん

お水につけてごらん

熱々のエスカルゴができるだろう

 

ぼくがネズミを引き出しの中に入れると

ネズミは暗すぎると言う

帽子の中に入れると

暑すぎると言う

(「みどりのネズミ」高岡厚子訳)