えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

813, 続813

モーリス・ルブラン、『813』、堀口大學 訳、新潮文庫、2005年(59刷)
モーリス・ルブラン、『続813』、堀口大學 訳、新潮文庫、2006年(53刷)
最初が「アルセーヌ・リュパンの二重の生活」で
次が「アルセーヌ・リュパンの三つの罪」。
なんといっても後半、ドイツ皇帝(ヴィルヘルム二世)相手に
モロッコ領有を巡って駆け引きするという話の大きさがたまりません。
ルパンは芯からフランス人であり、愛国的であるところも含めて、
同時代の読者にさぞ受けただろうなあ、と思う。
それはそうと、「わし」と「あんた」に時代を感じさせる翻訳で
文庫初版は昭和34(1959)年。「ごろつき」というか「やくざ」な
感じを出したかったのかとも推察するものの、会話の部分の古さは
どうにも否めない。当時の印象としてはどうだったのか。
なんにしても「ルパン」がじじむさく見えるのは、いかにも無念と思われる。
それはそうと、堀口大學がルパンものを多数訳しているとは、
この年まで知りませんでした。